ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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2008年の映画について

今年ももう終わろうとしている。今年は邦画の多くで意欲的なものが公開されたが、面白いものが多かったかと言われるとちょっと疑問かな。洋画はジャーナル性のあるもので好作が多かったようだ。

さて、それでは私が選ぶ今年の良い映画を順にあげて行こうか。

『アメリカン・ギャングスター』
ラッセル・クロウみたいな渋い役者が私は大好きだったので、この映画を見ないという選択肢はなかった。で、見終わった感想は(この映画は結構尺の長い映画だったが退屈しなかった)、『まる見えテレビ特捜部をかっこよくした感じ』だった。じっさい、ストーリーはそんな感じなのだ…新しいシステムによってギャング組織を急成長させた若き黒人ギャングスター、そして腐敗した警察組織の中でもがきつつもギャング壊滅に向けて努力する渋い警察官。警察官の努力のさま、そして捜査が結実して犯人逮捕に乗り込んでいくシーン、それらを語ろうとすると陳腐になるかもしれないが、なかなか見ごたえがあったよ。

あと、けったいな視点かもしれないが、私がこの映画を見て感動したところについて。わりと最初の方、ラッセル・クロウが犯人逮捕に行くときのシーン。ばかでかいハンマーで犯人の部屋のドアをぶちやぶるのだが、その圧倒的な存在感(銃をパンパン撃つシーンの10倍は生々しさがあった。そして生々しさをかもし出せる映画ってそんなにないと思う)、私の心に残らざるを得ないものだったね。

『バンテージ・ポイント』
いくつもの視点から少しずつ事件の全体が明らかになっていくというのは面白い映画の構造だった。しかもその構造は奇をてらったものではなく、複雑なテロ事件の全容を観客に見せるためには最適なものであったというべきだろう。長い長い(長く思われた)カーチェイスのシーンが好きかどうかは意見が分かれるところかもしれない。


そういえば今思い出した、『最高の人生の見つけ方』というのもあったが、私はこの映画をどうこういうには若すぎるかもしれないな…最初と最後はじゃっかんミスリーディングのある伏線が敷かれていてなるほど、と思わされるものがあった。テレビ放映されるだろうからそれを見れば十分かも…。

『ダークナイト』
ダークナイト、というタイトルを聞いたときなんだそりゃと思ったが、バットマン映画だということを強調しすぎるとアメコミ映画にはあまり食指が動かない多くの日本人にとってはこれがベストなタイトルだと映画会社の人は思ったのかもしれない。だが、結局その試みは失敗したらしく、この映画は日本では振るわなかったようだ。アメリカなどでは非常なヒットだったらしいのだけど。

アメコミ原作映画はやはり売れないのか?しかし、少なくとも、私にとってこれは今年で最高の映画だった。また、DVDをほかの人に見せてみると(買ったのだ、DVD)すべての人(多くは日本人だ)がこの映画を賞賛する。やはりこの映画はすばらしいものだった。

どこがそのすばらしい物だったか、というとアクションの面白さに触れなければならないだろうがそんなものは文章で書いても伝わりやしないだろう。しかし、この映画は大きな画面で、そして音響設備の整ったところで見てほしい、という私の実感を書いてはおくべきだろうか。とくにバットモービルが活躍するシーンはね!バットモービルほしいぜ。

だが、この映画の眼目はそのテーマのすばらしさだろう。悪の組織に屈することはできない、しかしその戦いの過程で多くの人を不幸にしてしまったかもしれない。…正しいことを行っているのに今は非難を甘受しなければならない…しかしいつか正義であったことが人々にわかるのではないか…そういうメッセージがラストのシーンにあったように私には思われた。また、人々は正義を行う事ができるのではないかという希望を示すシーンも感動的だった。

ほかにも悪役はやっぱり狂ってるほうがいいよなあとか爆発はシンプルながらわかりやすく面白いなあとか、色々感じさせられたよ。ぜひみんな見るべき映画だ。150分強あるのでテレビでは完全放送されないかもしれない。

邦画にも触れよう。
あんまり数見ていないのだが…

『イキガミ』
漫画原作で一番好きだったのはこれかな。遺族のごたごたがなければもっと売れてよかった映画なはずだ。いくつかの小パッセージが交錯する構造は漫画原作を生かしていた。あと、劇団ひとりが役者として光っていた気がしないでもない。

『DMC』は出落ちっぽい気がしないでもなかったが面白かったかも。

『崖の上のポニョ』
この映画に触れないわけにはいかないだろう。正直言ってストーリーはなんだかよくわからなかったのだが、その美術的なすばらしさは間違いなく日本アニメにおいて傑出したものがあった。特に津波のシーン。音楽的にもすばらしかったな。音楽がワーグナーあるいはマーラー的だったように思ったが、それは映画には必ずしもあっていなかったかもしれないが、きれいだったからいいのだ。ポニョのテーマ曲は今後子供向けの曲のスタンダードになるだろうか?すごく記憶にのこる曲だったね。

来年も楽しみな映画が多い。007の続編や、エヴァンゲリオンの続編など…続編しか思いつかないんだけど…

さて、今年ももう終わりだ。来年もよろしく。
いいなにかがありますように。
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『イキガミ』見てきた、そして『生活維持省』とのことも述べたい

『イキガミ』を見てきた。
いい映画だと聞いていたので、期待していなかった。
大抵、期待して映画を見ると期待はずれに終わるのだ。
だが、期待とは裏腹にとても面白い映画だったよ(複雑だな)。

ネタバレは無いと思うが、用心して続きを読む、にしておくよ。

【“『イキガミ』見てきた、そして『生活維持省』とのことも述べたい”の続きを読む】

高野文子『絶対安全剃刀』は何か詩のような…

漫画批評の本を読んでいると、たいていこの本は言及される。
高野文子『絶対安全剃刀』。
そう新しい本ではない。昭和57年に初版発行。
私よりも年上の本だ。

一般に、評価がとても高い作品…その作品を理解できないような奴は、感性の程度が低いんだよ、といわれるような…を批評するにあたっては、たいていの人は褒める批評から入るような気がするのだが、私はまさに感性の程度が低かったのか…なんでかはわからないが…表題作の『絶対安全剃刀』についてはあまり面白いとは感じられなかった。

『絶対安全剃刀』は短編集である。
表題作を含め、17作品が納められている。
1作あたり、大体10ページあるか無いかのものが多い。
出版社は白泉社。『デトロイト・メタル・シティ』を出している社と同じ出版社とは思えないようなさわやかさ。『花とゆめ』を出している出版社だからなんだろうなあと思わせるようなさわやかさ。
値段は970円プラス税。

さて、では作品の批評に入ろうか。

絵について。
やはり女性的な絵なのだが、1975年代から1985年代の女性漫画絵特有のあっさりとした線、雰囲気を持っている気がする。あるいは、この作者が作り出したムーブメントがその時代を象徴するものになったからこのような印象を抱くのかもしれない。

ストーリーについて。
まず、表題作の『絶対安全剃刀』について触れよう。
自殺しようとしている少年が主人公。その友人がもう一人の登場人物。その二人しか出てこない。

9ページしかない。

この作品は、自殺…少年期特有のセンチメンタリズムの発現の一形態なのだろうか…を、軽いような、あっさりとしているような、ユーモアがあるような、しかし一種のロマンチックさを感じさせるような触り方で描いている。多くの人はこれを美しいと感じるのだろう。だが、私にはその美しさが読み取れなかった。なんか、あっさりとしすぎていて。私がこの作品からそういったものを読み取る努力をしていないといわれるかもしれないが、努力をしないと読み取れない美しさを無理に感じようとさせるのは―『悪しき』教養主義の衰退した、といおうか―現代の漫画読者にとってはあまり適切な手法ではないように感じた。もちろん、この作品は25年以上前の作品なのだから、この感想は現代に存在している私がこの作品を読んで、どのような感想を抱いたかということに過ぎない。

ただ、この作品について、現代の読者である私にとっても心に感じさせるものがあったのは、この本で『絶対安全剃刀』の次に収録されている『1+1+1=0』という作品。

男の子が、自らのキスをめぐって両親に不幸を与えていたんではないかと思い悩む話、とまとめていいのかな。8ページ。なんかこう男の子のモノローグが詩的だ。素敵だよ。終わり方もいい。

『田辺のつる』もこの短編集に収められている作品としては有名か。これもなかなかよかった。
自分のことを小さい女の子だと思うようになった、ぼけた老女の話。
作品中で、その老女は小さい女の子として描かれているのだが、その”老女”に接する周囲(家族)との奇妙な距離感だとか、そういうものが感じさせる、空漠、そしてほんのりとした悲しみ。あるいはおかしみもあるのだろうか。

『あぜみちロードにセクシーねえちゃん』なんかは結構時代を感じさせるけど、その時代特有かもしれない若さをもてあます感じが面白いな。なんか黒田硫黄っぽいような感じを受けなくもな


結論としては。
いくつかの短編は確実に面白い。それに、この本は間違いなく漫画読みにとっては有名な本であることもあるし、自分でその内容を確かめることもいい経験だと思う。940円プラス税の、そう高くもない本であるし、決してそう購入の難しい本でもない(今も版が重ねられている)から、買ってみるのもいいんじゃないかな。

読んだら感想聞かせてくれ。

(署名:超伝導ET)

畑先生の努力には敬意を表せざるを得ない、それにしてもバックステージのシステムは改良されるべきじゃないか

皆さん、今週の畑先生のバックステージをごらんになりましたか?
見ていないんなら、見るべきですよ、ぜひ。
バックステージ200回達成かあ。すごいなあ、毎週毎週ってのは…

ハヤテのごとく!およびサンデーのファンの一人として何か一言いうならば…バーナード・ショウいわく…いや、ここは真っ正直に『畑先生、バックステージ200回達成、おめでとうございます』、と言わせていただきましょう。こいつぁ記録と記憶に残る実績ですね。

しかも200回目からはWEB漫画ですか…すごいバージョンアップっぷりですね!実は私は、いつも水曜日にネットを見るときは一番最初にサンデーまんが家バックステージを読むことにしているのですが、今週の場合は、ページを開いたとたん、イラストじゃない4コマ漫画が目に入ったのでびっくりしましたよ。自らハードルを挙げてリニューアルしようという先生のチャレンジマンシップ、確かにお見受けいたしました。

そういえば私はこないだ20歳になり、「もうハタチ過ぎたら腐った活動は落ち着けるべきなんやろうか…」とか思っていたんですが、畑先生の前のめりな生き方、感動しました。私もゾンビ並みに生き腐り、パンキッシュに生きようと思います。あるいはパンクチュアルに。

今後WEB日記からWEB漫画に進化しようということだそうですが、そこで改めてこのまんが家バックステージのシステムを見るに、このシステムは毎週毎週きっちり、総計200回もバックステージを更新する作家が出てくることを予期しているとは思えないシステムですよね。以前のバックナンバーにアクセスするためのリンクも原始的ですし、『前回の記事を読む』ボタンとかも無いし。システム設計者の想像をはるかに超える畑先生の偉業はまさに前代未聞ですよ。感服仕りましたのう。

でも、ここまで畑先生がバックステージの更新をしているんだから、WEBサンデーは、システムをもうちょっと変えたらいいのに、と思わないでもありません。リンク上にカーソルを合わせたらその回の記事タイトルが出るようにするとか、イラストが表示されるようにするとか、あるいはこのシステムみたいに、BSのタイトルイラストをいっぺんに見れるシステムをつけるとか。こんなにこまめに更新している作家に合わせてシステムを作るくらいのコストはかけてもいいと思うのですよ。

あと、畑先生はお忙しい身の上でいらっしゃったはずで。チャレンジはすばらしいことですが、お体を大切になさってください。…そういえば、高校生の時、「死ぬほど勉強しても実際死んだ奴はいないから安心しろ」みたいなことを先生に言われた記憶がありますが、私の先輩の大学院生が勉強しすぎて吐血・入院しました。世の中って想像をはるかに超える事件が起こるものなんですね。…早い話が、畑先生、死なないでください。

それはそうと。ハヤテとマリアさんは水族館デートですか…畑先生は品川水族館にわざわざ取材にいらっしゃったそうで。私も品川水族館には一家言ありますよ。近いから。『サメとエイの違い』とか。なんかエラのある穴の並びが、横にあるのがサメ、裏の平べったいところにあるのがエイなんですよ。…品川水族館に私が行ったときにガイドの人が言っていました。あと、…私はノコギリザメしか知りませんでしたが、ノコギリエイってのもいるんですね。…ああ、私って知性とか豆知識力とかが足りない!

今週のお話はなんだか西沢さんがかわいらしく見える回だったような気がします。本来ならマリアさんに注目するべき回だったのでしょうが…『も!!もしかして二人は…!!つきあってたりするのかな!?』とか聞いちゃうところに、何か健気さを感じました。健気とは違う気もしますが。それに、そもそも、私がただ単に『けなげな女の子』にシンパシーを覚えているだけかもしれませんけれども。

テーマ:ハヤテのごとく! - ジャンル:アニメ・コミック

2008年度上半期、中延文学会で選ばれた映画たち

やあ、皆さん、お盆も過ぎましたがいかがお過ごしでしょうか。

前回の記事は2008年度上半期に読まれた漫画を紹介するものでしたが、今回は一つ2008年度上半期に見られた映画を紹介することにしましょう。

選出基準は
①見た甲斐があったこと:
(面白い・面白くない、だけではなく、つまらなくても考えさせられた、などなら選ばれる)
②2008年上半期に見られたこと:
(公開年などは一切関係なし。会員によって2008年上半期に見られたこと)
の二点のみ。

そして、以下の映画たちが実際に『見るべき映画』に指定されたのでした。
この文章をお読みの皆さんも、是非ビデオ屋や映画館で見てみよう探してみよう。

①アメリカン・ギャングスター
この映画の面白さは、『まる見えテレビ特捜部』の刑事物をすごくした感じ、といえばわかってもらえるだろうか?

大々的に麻薬を扱うギャングが存在する町。彼らを相手に捜査している刑事が主役だろう、いちおう。ギャングのトップが主役だという考え方もあるだろうけれど、私はそのように鑑賞していた。

時代はベトナム戦争期。描かれるギャングのトップは、今までイタリア系マフィアが成し遂げられなかったような麻薬の低価格高品質化を可能にする麻薬流通機構を整備したことで、その存在感をいや増していた…なんだかこう書くと麻薬とかではなくて電化製品か何かを扱っている企業家の話みたいだなあ。いや、その一面は確かにあるだろう。映画のはじめの方では、まさにそのような形で話が進む。演じるのは、デンゼル・ワシントン。

対するのは麻薬対策班の警察官。演じるのはラッセル・クロウ(私はラッセル・クロウが大好きなんだ!)。麻薬対策に奮闘する日々だが、同僚の警察官は麻薬の取引現場を見逃して賄賂を取ったり、押収された麻薬を売ったり、警察側の腐敗もひどい。ラッセル・クロウ演じる警察官は警察に失望してロースクールに行ったりもしているのだが…だんだんと警察の方に風向きが変わってくる。

デンゼル・ワシントンの作った組織はあまりにも大きくなりすぎたのだ。組織は掌握しきれないようになって、ほころびができてくる。また、ラッセル・クロウの捜査も進展する。そして警察側が解明する麻薬の流通経路!…この辺りが『まる見えテレビ特捜部』を凄くした感じ、と表現した部分にあたる。

で、それまでの地道ぃなラッセル・クロウの努力が実ってギャングの麻薬精製現場に乗り込むんだが、そのシーンのスカッとする程といったら言葉では表現できないほどなのだ。映画最初のラッセル・クロウがハンマーを持ってドアをぶち破り、犯罪者を逮捕するシーンにも強いインパクトがあったが、麻薬精製現場にショットガンを持って乗り込むシーンも凄いよ。マシンガンをバンバン撃つんじゃなくて鈍いけれども確実な破壊力のこもった発砲音がドン、ドン、と響くってのはかっこよかったなあー。

警察物やギャング物のどちらかが好きならこの映画は確実に面白いはずだ。けっこう長い映画なのだけれど、退屈はしないよ。

なお、この映画を見て興味をもたれた方は、イタリアのギャングについて書かれた本、Roberto Savianoの『死都ゴモラ』(河出書房、2008年)を読まれるといいと思う。イタリアン・マフィアの組織とそれに関わる人々が描かれたルポタージュなどだ。この本の筆者はこの著作のためにマフィアに追われることになったそうだ。ヨーロッパ各国でベストセラーになったんだけれど、日本ではあまり売れていないのかな?

②バンテージ・ポイント
アメリカ大統領を狙ったテロ、その一つの事件を幾人もの視点(バンテージ・ポイント)をつなぎ合わせて全体のドラマが構成されている。あまり長い映画ではない。

観客は、事件の目撃者の視点を一つ一つ眺めていくことによって、事件の全貌を知ることになる…その過程はきわめてエキサイティングだ。

扱っている主題は政治的に重要なものなのかもしれないが、その点はたぶん捨象して構わないと思う。日本の観客にはあまり関係ないだろう、たぶん。

この映画で面白いのは『事件がちょっとずつ(しかし観客の予想をうまく裏切っていく形で)明らかになっていく、その過程』と『幾人もの行動によって事件が収束に向かっていくその様』だろうか。これらの面白いポイントはこの映画の特殊な構成(どういう構成かは見ればわかる)によるところが大きく、この映画の形式を真似しようと思っても、それはなかなか難しいだろう。

たぶん、もうDVDが出ているはずだから、今は見やすい時期なんじゃないだろうか。

③ミュンヘン
北京オリンピック開幕中だねっということで選ばれた。
タイトルからするとミュンヘンオリンピックが中心になる話なのか、と思われたのだが、実際には『ミュンヘンオリンピックの選手村で起こったイスラエルの選手へのテロ事件』に対し、テロ組織に報復するため、活動する…具体的には爆弾を仕掛けたりする…人たちの話。

テロへの報復、というと幾分ぼやかされた印象だが、実際にやることはテロ実行犯を自らの手を以ての暗殺。実行犯を探し出し、ピストルで撃ったり、電話に爆弾を仕掛けたり。
だから、やることは実際、血なまぐさく、しかも非合法だ。

だがこの映画を通して印象に残るのは、報復グループ(…彼らを何と言えばいいのだろう?…事実上、モサドの下部組織のような扱いだが、モサドとは無関係であることが強調され、正体はあまりはっきりしたものではなかった)の5,6人、彼らが朝食を摂っているシーンだ。彼らはごく普通のサラリーマンがそこに居合わせたかのような雰囲気をもって朝食を摂り、ジョークを交わす。

その自然さと報復行為の奇妙な温度差がこの映画の観客に独特の印象を与えていた。

④ダークナイト
まだこの映画は公開中だと思う…まだこの映画を見ていない人はとっとと見に行くべきだ。それぐらい面白かった。

私は元々バットマンにはあまり興味はありはしなかった。いや、ダークナイトを既に見た今もあんまりバットマンそのものには興味はないかもしれない。だが、この映画は確実に面白い!この映画はバットマン映画ではあるが、何か既存のバットマン映画というものを超えた形容がなされるべきで、しかしその形容が今の私には見つからないのが残念だ。

この映画で描かれているのはたっぷりのアクション…例えばバットモービルの力強さ、バットマンのタフさ!それらはハリウッドアクション映画の美点を集めたような素晴らしさであることはまちがいない…に加えて、バットマンの存在への問い、だ。

バットマンは公務員ではない。単なる自警市民だ。彼が行使する実力は、公権力による合法的な力の行使ではなく、向けられる相手は悪人であっても、非合法のものでしかない。なんでか警察とか検察とかに協力してはいるけれど。

そんなバットマンと対置されるのが、検察官。バットマンの舞台、ゴッサムシティでは検察官って公選されるらしい。皆に支持され、そして組織犯罪を追及し、犯罪組織のトップを逮捕する…彼は合法的な方法で悪を取り除く、まさに「ホワイトナイト」だ。

バットマンや検察官、警察官たちをあざ笑うかのように悪事を行うジョーカーもなかなか良かった。怪演というべきか。立ち上る存在感、圧倒的な凶悪さ。映画に登場する悪役でもここまで純粋に悪役であった存在というのはなかなかないのではないだろうか。

詳しくはストーリーにつながるので書けないが、その悪にバットマンや検察官、警察官たちが翻弄され、また、困難な状況に陥らされる様は観客を飽きさせない。この映画は152分もある。ただ長いのではなく、その内容は充実しているが、退屈する人はいないだろう。

そして、この映画の印象的なエンディング…
観客にこの映画の余韻を程よく残し、かつ心に正義の炎を燃やして、感動的だった。

是非この映画を多くの見て欲しい。できれば映画館で。

⑤崖の上のポニョ
ストーリーは、なんか一言では言いがたい。また、ストーリーはそもそも重要なものではないような気すらしてきた。あまりにもつじつまを合わせようとしたり常識的に考えようとしたりすれば混乱するような話ばかりだった。だが、それは決してこの映画がつまらなかったということではない。

この映画が面白かった理由は、この映画の美術的な面があまりにも素晴らしかったからだ。ダイナミックに動く海の波、生き物、乗り物、人々。子供も女性も老人も魅力的だ。

音楽もなかなか良かった。中盤、なんだかマーラーだかワーグナーだかの音楽のような独特の(日本映画の音楽にはなかなか無いタイプの音楽というべきだろうか)が流れるシーンがあったのだが、それがポニョの本名『ブリュンヒルデ』がワーグナーと関係あるとか無いとか、一部では言われているらしいが…

でも、私にはもはやそんなことはどうでもいいことのように思えた。

眼前に展開する光景が美しく、また、人々がけっこうなエンディングを迎える…それだけでいいのではないか?
この映画の中で大津波が起こるのだが、人がたくさん死んだのだろうか、とか、インフラがどうなっているのか、とかはどうでもいいのだろう。一番重要なのは主人公である5歳の男の子のような子供にとって、眼前の光景がわくわくするものかどうか、ではないか。

宮崎監督が子供のために作った、と言っていたのはそういうことじゃないかな、と私は思っている。
…実際には子供はあんまり喜ばなかったらしいけど。
子供心にもあんまり良くわからない映画だったのかもしれない…
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