ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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企業戦記マジカル☆デストロイ 第二回

ブリトニーは帳簿上不明瞭になっていた砂糖8千tの行方を追っていた。

いつしか、ブリトニーにはその「不明瞭」とは、デタラメな経理処理によるものではなく、何者かの計画的な作為によるものであるということが感じられてきた。しかも、それはマジカル☆デストロイ社全体の経理処理を少しずつ、かつ巧妙に操作しなくてはならないものだった。

組織的な隠蔽工作が予想される。

「だが…」

しかし、ブリトニーは気づいた。



砂糖8千t…これは決して高額な商品ではない。
仮に1tあたりを10万円で売りさばくことが出来たとしても、保管、輸送諸々で1tにつき5万円は掛かるだろう。
8千tでは4億円にしかならない。

4億円とは、マジカル☆デストロイ社ほどの多角企業を操作して得られる利益としては、あまりにも少なすぎる金であった。

ブリトニーはマジカル☆デストロイ社のこの異変を三途ノ川に伝えるべきか、迷った。動機も分からないような経理操作について、確信の持てないうちから社長の手を煩わせるべきではないと判断したのだ。

だが、ブリトニーはついに決め手となりうる証拠を発見し、かつての先輩、三途ノ川に報告する。

「三途ノ川社長…これをご覧ください」
ブリトニーが差し出したのは、砂糖5百tの輸送に関する運行契約の内容の詳細について報告する書類だった。
いぶかしげにブリトニーを見る三途ノ川、しかし、その書類の内容を認めるや、三途ノ川の顔色が変わった。

だが、それも一瞬だった。
三途ノ川は平常どおりの冷徹な企業人の顔に戻って、言った。
「ブリトニー君…君はこれが何だというのだね…?」
「いえ、詳しくはまだ…まだ調査中なのです…しかし、奇妙なことを発見しました…
ご覧ください、砂糖5百tが郵船によって上海に運ばれています…
当然、上海側の受け取り企業の帳簿にも記録されていました。
が、奇妙なことに」

ブリトニーは次の書類を差し出す。
「この取引はわが社の通常の経理書類からはなぜか外されていました。
また、上海側の企業の書類によれば、この受け取りの荷物は『砂糖2千t』ではなく『廃棄物』として処理されているのです…」

三途ノ川は黙ってブリトニーの報告を聞いている。

「この書類がなぜ通常の経理書類として扱われなかったかはひとまずおきましょう。
…実際に、この砂糖5百tは最後まで廃棄物として処理され、廃棄物処理工場までの書類を追跡することも出来ました。
しかし、砂糖をなぜ廃棄物として処理する必要があったのでしょうか」

三途ノ川は口を開いた。
「砂糖の品質が保管、輸送中に劣化してしまったのではないかね?
損害保険に入っていただろう、その点はわが社の損害ではないな、報告には値しないよ…」
「いえ、さらに奇妙なことがあるのです」
ブリトニーは続ける。

「確かに損害保険には入っていました。わが社に損害はありません。
ですが、実は書類上の扱いも、変わっていたのです。
この砂糖5百tはわが社の倉庫から送り出されるときには明確に砂糖5百tとして処理されています。
しかし、上海に着くと『廃棄物』…
この差から、ひとつの重要なポイントが…分かりますか?」
「いや、分からんね。ごく普通の取引じゃないか」

「では、答えを言いましょう。
砂糖は「5百t」として、はっきりと重量についても言及があります。
しかし、廃棄物の側には、正確な量については、言及がありません…
これは廃棄物がそう厳密な重量検査を行わないことからすれば、ごく普通のことかもしれません。
ですが…これを利用しようとすれば」

「ブリトニー君、もうやめたまえ」
三途ノ川はブリトニーを遮って、言った。
「君は優秀な人間だと思っていたが…若干アテが外れたよ。
私は推測でものを言うような監査人は必要としていないんだ。
君は早く社の監査業務を終えて、判を押してくれたまえ。
私は忙しいんだ…何か進展があったら、また」

「社長!…いや、三途ノ川先輩!お待ちください!」
ブリトニーは三途ノ川の腕を取ろうとした、が、その手は振り払われ、三途ノ川の左肘に軽く当たった、すると、

「うっ!」
三途ノ川はうずくまった。
まるでブリトニーの指が鋭利な刃物であったかのように。
「どうされました!」
ブリトニーは三途ノ川を気遣う…だが、

「いや、なんでもない。ブリトニー君、詳しい調査に感謝する。
ただ、本筋の監査を迅速に進めてくれ…」
それだけいうと、ブリトニーの方には顔を向けず、三途ノ川は足早に立ち去っていった。

…ブリトニーにひとつの疑念が浮かんだ。




そして、ブリトニーは家に帰るや否や、三途ノ川のここ最近の写真をかき集め始めた。
三途ノ川はやり手社長として経済雑誌などには頻繁に取り上げられている。
彼を写した写真の数は豊富だった。
ブリトニーはそれを丹念に調べ始める…

ブリトニーは三途ノ川が腕まくりをしている写真を探す。
だが、写真の中の三途ノ川はいずれもびっちりとスーツを着込んだ姿で微笑むばかり。
ブリトニーはあきらめかけた、だが一枚の写真を見つけた。
それはブリトニーと三途ノ川が一緒に写された、最後の写真。
ブリトニーがマジカル☆デストロイ社に入社する以前の写真だった。

マジカル☆デストロイ社が新規に建造した大型輸送船のバックにして、いつものように豪快に笑う三途ノ川。
海辺の日差しが暑いのか、三途ノ川はワイシャツ姿に、腕まくりをしている。
そしてその傍らに立つ、かつてのブリトニー自身。


ブリトニーは三途ノ川の左肘に目を凝らした…

紛れもなく、三途ノ川の左肘には、青い、皮下出血の痕があった。

(続く)
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テーマ:ハヤテのごとく! - ジャンル:アニメ・コミック

コメント

あああ…

なんかめちゃくちゃ長くなってしまった…
パロディを作ろうとすると『マジカル☆デストロイ』は異常に疲れるな。
これも作品にこめられた荒ぶる魂って奴か…

  • 2006/11/02(木) 20:10:55 |
  • URL |
  • 団藤 #-
  • [ 編集]

いや、なんかマジカル☆デストロイであるという感じがまったくしなくて、我々の活動としてはベストだよ。
よくこんなネタを思いついたね…

  • 2006/11/02(木) 20:12:15 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

長いな…
続きはどうなるのだ。
三途ノ川はいつ星になるんだ。

  • 2006/11/02(木) 20:16:50 |
  • URL |
  • e-co #-
  • [ 編集]

さて、そろそろマジカル☆デストロイ~秋霜烈日~でも書かなくちゃいけないかな。

  • 2006/11/03(金) 13:34:45 |
  • URL |
  • ファンの一人 #-
  • [ 編集]

青い皮下出血ってまさか密貿易ネタなのか・・・
マイナーだなあ。

  • 2006/11/04(土) 22:27:42 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

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