ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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民間委託刑務所と矯正教育

近頃、PFI方式の刑事施設、いわゆる民営刑務所が話題を集めているようだ。

今日の読売新聞夕刊にPFI方式の刑事施設として掲載されたのは、喜連川(きつれがわ)社会復帰促進センター。東日本初の民営刑務所で、その特徴は受刑者のうち、体の不自由な高齢者を含む身体障害者、知的・精神障害者が500人を占めるということ。

13日から開所される施設であるので、まだ私にはあまりこの施設についての詳しい事情というのはわからないのだが、この施設の今後を占うために日本初の民間刑務所、美祢社会復帰促進センターについての報道と比べてみたい。

美祢社会復帰促進センターが当初話題を呼んだのは、初の民間刑事施設であることとともに、その施設が今までの刑事施設に比べてあまりにも設備が整っていたことが原因だろう。その居室が独房で、一人用のテレビがついていることなどが報道された。また、その食事が豪華だという報道もあった。2007年9月8日の朝日新聞報道によると、「美祢定食」と名づけて訪問者にも収容者向けの食事が提供されているとか。

これらを指して刑務所にしては贅沢だとか、刑罰としての意味がないだとか、多くの批判的な意見が寄せられていた。鳩山法務大臣も、次のように述べていたようだ。奇しくも前述の「美祢定食」を報道した記事と同日の2007年9月8日の記事。以下、引用する。

『山口県美祢市のセンターを5日に視察した法相は、環境の良さに「受刑者にも人権があるからいいが、行き過ぎるとね」と不満な様子。「実刑判決には懲らしめの意味がなければならない。悪いことをするとつらい思いをするという方が再犯防止に意味がある」と述べて、「刑務所」と呼ぶべきだと強調した。』

なるほど。
そういった意見もあるだろうとは思う。だが、私はこれらの民間委託刑事施設の今後に大いに期待したい。それは、これらの刑務所が、収容者への実効的な矯正教育を行うことが出来るだろうという期待からである。

これらの刑事施設においてあまり強調されていないが、大きなポイントとしてあるのが、美祢社会復帰促進センターに入れられるのは…いや、入ることが出来るのは、選りすぐりの模範囚であることだ。刑期も短く、初犯で、おそらくは知能も高いのだろう(刑事施設に収容されている受刑者の3割強がなんらかの知的障害を持っているといわれる。知的障害のために善悪の判断能力が不十分であり、かつ知的障害者に関する社会のネットがないために軽微な犯罪を犯して、また刑事施設に戻ってしまうケースが多いのだ。そのような場合、軽微な犯罪とはいえ再犯者なので、刑期が長くなってしまい、一般社会と隔絶した時間が長くなってしまうと、それにしたがって彼らの社会復帰も難しくなってしまうという問題がある)。これらの刑務所に関する報道を見聞きし他人が「自分もこんな刑務所になら入りたい!」と思って犯罪を犯したとしても、多くの人はたぶん入れてもらえないだろう…世知辛い。

まあそれはともかく、そのような社会復帰の可能性が高い受刑者には、刑罰の応報刑的な機能を強調するよりも、むしろ教育刑としての機能を生かし、社会復帰のための訓練を施すことが、より効果的であるはずだ。センターに収容された受刑者らの再犯可能性を逓減させるためにかかるコストと再び犯罪が起こってしまうコストのバランスという面から考えれば、この程度の施設も決して贅沢とはいえないだろう。…もっとも、これは『最もうまくいったケース』に与えられる評価だ。再犯率などが他の施設と変わらない結果だったとしたら、一連の事業は質を疑われることになるだろう。

また、社会復帰を支援するための教育プログラムも充実している。美祢社会復帰促進センターでも小学館プロダクションが教育のためのサービスを提供していたが、喜連川社会復帰促進センターでも小学館プロダクションが教育サービスを提供することになっている。喜連川社会復帰促進センターでは美祢での場合と違って、身体障害、知的・精神障害者の受刑者が四分の一ほどを占めることになるらしい。教育プログラムの内容もそれに対応したものとされることが必要だろう。

どうやら、もうじき半年になる美祢の施設は順調にそのプログラムを進めているようだ。このような施設を出た元受刑者が再び犯罪を犯すことが無いようにするため、矯正教育を施す側の責任は大きい。また、はっきり言って、矯正教育に対して有効といえるような確立された手法があるとも思えない。ただ、一連の事業に対する評価というのはそうすぐにできるものではないだろう。これらの施設における教育事業が評価されるには長いスパンで出所者の社会復帰の度合いなどについてのデータが集められることが必要となる。

今後の動向に注目したい。

(補)資料
■PFI刑務所の概要
 <(1)運営開始 (2)収容定員 (3)国・民間の職員数>
 ●喜連川社会復帰促進センター(栃木県さくら市)
(1)07年10月1日
(2)男2千人
(3)国約250人、民間約100人
 ●播磨社会復帰促進センター(兵庫県加古川市)
(1)07年10月1日
(2)男1千人
(3)国約150人、民間約80人
 ●島根あさひ社会復帰促進センター(島根県浜田市)
(1)08年10月1日
(2)男2千人
(3)国約145人、民間約160人
 ●美祢社会復帰促進センター(山口県美祢市)
(1)07年4月1日
(2)男女各500人
(3)国約120人、民間約180人
(2007年10月1日の朝日新聞朝刊から)

なお、触法障害者については山本譲司『累犯障害者』(新潮社)が詳しい。非常に興味深い本なので、ぜひ一読されたい。
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コメント

今後こういう施設が増え、あるいは出所者を堀の外で迎えられるネットが構築されたらいいのだけれど。

  • 2007/10/12(金) 23:29:21 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

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