ナカノブひとりぼっち

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ロボットと結婚することは法律上可能か第2回 ~ロボットと権利能力~

前回の内容:

『ハヤテのごとく!』に登場する執事ロボット13号。
13号はチューリングテストにあっさり合格しそうなAIを備えているのだが、ここで問題提起。

仮に13号が誰かと結婚したいと思ったとき、現在の法律は13号の婚姻を認めるのか?
さらには、13号が結婚しようとしたらどのような立法が必要なのか?

…以上のことについて、今回はまずロボットについて、法律行為を為す際に不可欠な『権利能力』概念を検討する。


まず、婚姻について、わが国はどのような法制をとっているのかを確認しよう。

わが国では国家法の要求する婚姻の方式を踏むことにより婚姻が成立するとする法律婚主義をとっている。

つまり、婚姻の成立には、実質的要件として婚姻意思及び民法731条以下の要件(婚姻適齢にあること、重婚・近親婚でないこと、女性の再婚の場合には再婚禁止期間内でないことなど)、形式的要件として届出などを必要とすることになる。

今回の問題に関して特に問題となるのが実質的要件、そのなかでも『婚姻意思』であることは前回述べたとおりである。それはなぜか。

答えとしては、『意思』がロボットにあるのか?ということがそもそも問題となるためである。


…まず、予備知識として法律行為とは何かということを説明すると、法律行為とは『自己の意思に基づいて法律関係の変動(権利義務の発生・変更・消滅)をもたらしめる行為』と説明される。
この法律行為の定義の中の「自己の意思に基づいて」という部分が13号が婚姻契約を結ぼうとするときに問題となってくるのだ。
それは『意思』が有効なものとなる前提として権利能力の享有が求められることにある。

それを踏まえて、民法の条文に触れてみよう。
民法第一編第二章は人について。ロボットについて、みたいな章は無い。代わりに第四章は物について、であるが…この内容については後述しよう。

さて、その民法第一編第二章第一節、権利能力。この節はたった一つの条文のみで構成されている。それが民法第三条。

民法第三条
第一項 私権の享有は、出生に始まる。
第二項 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

これだけだ。
さて、三条第一項が出生によって権利能力が発生することを規定していることが分かっていただけただろうか。

出生とは何か。生まれてくることである。要件は条文上これだけであるが、『生まれてきた』ならサルでも権利能力を有するのか、というと、もちろんそういうわけではない。

サルが権利能力を有しないのはサルの知的能力が低いためではない。サルよりも頭の悪い赤ん坊だって、この条文からすれば権利能力を有することになる(ただ、行為能力が無いとされてその法律上の能力は制限されるのだが…話すと長いので詳細は省く)。

つまり、どんなに知的能力の高い生物が存在しても(例えばどこぞの星からやってきた高度知的生命体とかがいたとしても)、民法上は契約の主体となる資格が認められず、交換の対象となる財産を「所有する」資格が認められない。

この状態をわかりやすく言い表して「サルはバナナを所有できない」と言ったりする。
こういった司法上の権利義務の主体となる資格を権利能力というわけだ。

「能力」とはいうが、知的能力とは関係がなく、権利能力がなければ、どんなに知的能力が高くても、民法上は人の所有の対象となるものでしかないということ…これがキーだ。


さて、13号の婚姻の可否についての話題に戻ろう。
13号とは何か?
超高性能な執事ロボットだ。
つまり、13号の本質はロボットである。それ以外の修飾語は本質そのものを変更するものではない。

ロボットとは民法上なにか?人か?物か?…物だ。
物について権利能力が発生する場合を定めた法律は存在するか?…存在しない。
ならば、物は権利能力の享有主体にはなれない。権利能力の客体、つまり所有『される』側でしかない。

よって、13号は司法上の権利義務の主体となる資格を有しない。
『司法上の権利義務』には婚姻も含まれる。
つまり、13号は婚姻する資格を有しない。
よって、13号は婚姻できない。

とりあえずの結論はこのとおりだ。

仮に高性能なロボットについては権利能力を認める立法をした場合、どのようにロボットの権利能力や意思というものが考えられるのか、ということは次回述べよう。

今回の内容で疑問を持ったときは、民法の総則分野についての本を読んでみよう。
私は今回内田貴『民法Ⅰ』(東京大学出版会)を参考にした。
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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

権利能力について述べるだけで長くなってしまった。
本当に論じようとしている『ロボットの意思』にたどり着くまでが長そうだな。

  • 2006/11/11(土) 00:39:54 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

やあ
よく考えたら今日ってハヤテの誕生日だなあ。
昨日は雪路の誕生日だったらしいぞ。

  • 2006/11/11(土) 00:43:49 |
  • URL |
  • e-co #-
  • [ 編集]

とりあえず現代の民法では宇宙人がやってきたとしてもその所有権とかは認められるか怪しいってことか。
ウルトラマンってどうなんだろ。

  • 2006/11/11(土) 10:41:18 |
  • URL |
  • ファンの一人 #-
  • [ 編集]

司法上の資格、と来たか…

  • 2006/11/13(月) 22:40:23 |
  • URL |
  • 団藤 #-
  • [ 編集]

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