ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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昭和の日記念!昭和っていうと神田川が思い浮かぶ:虎鉄×ハヤテBL小説

やあ皆さんお元気でしょうか。昭和の日、いかがお過ごしかな?
私は主に門地かおりの『メロメロのしくみ』を読んでおりました。どんな漫画か、というと。まあ『メロメロのしくみ』はまあカタギが読まないBL漫画ですな。
すると、ふとなぜか落涙が。なぜ。

べつに『メロメロのしくみ』は泣かせる漫画ではないのですが、なんかその。手の届かないところにある欲しいものを見たときの「ああ私はこの物を手に入れることはできないのだ」という不可能性がもたらす悲しみ、それに似たものを感じるわけですよ。BLとかも現実に手に入れることができないものですし。だいたいBLを手に入れるってなんやねん。

せめて私は何かBLを紡ぎだそうという思いの結晶が以下のようなものですよ。

言うまでもなくBLなのでお気をつけくださいね。

(昭和というと『神田川』の風景が思い浮かぶ私は想像力が貧弱なんだろうか。周りからその愛を許されない二人。愛はあるけれど貧しさの苦しみが二人を取り巻いている、という。しかし二人のぬくもりで世間の冷たさに打ち克っていくという。もちろん、この歌で描かれている情景っていうのは若い男女のそれなんだけれど、それは若い男同士の情景であってもいいはずだ。命短し恋せよ乙女、いやオトメン。)

新緑の頃。晴れていたが東京の埃が空をくすんだものにしていた。やがて夜になっても、くすみは空気の匂いとなって残っていた。つまり、これが東京の匂いだ。寂しげな。

虎鉄はちゃぶ台で新聞を読んでいたが、読み終えてふと顔を上げた。ハヤテが窓枠に座り、物憂げな顔で窓の外を見ていた。ハヤテが身に着けていたのは薄いシャツとジーンズだけだった。この季節には少し寒そうに見える。ハヤテが見ていた窓の外には夜空が広がっていたが、空に星はなくただ町の明かりが灯っていた。ハヤテと虎鉄の部屋の明かりもその町の明かりの一つになっていた。寂しげな。

虎鉄は無言のまま、窓枠に座っていたハヤテの手を引いて、そばに座らせた。ハヤテは物憂げな目を動かさない。虎鉄はハヤテを抱き寄せ、ひざの上に座らせた。細いハヤテの体を腕で抱きしめ、顔をハヤテの首筋に寄せて、首筋の匂いを嗅ぐようにして、顎をハヤテの肩にのせた。
虎鉄は聞いた。
「何を見てるんだ? 」
「え? ううん、なんにも」
ハヤテはそう答えて、虎鉄の方に向きなおって、両腕を虎鉄の首の後ろに回した。しかし、それは嘘だろう。ハヤテは何か見ていたはずだ。あるいは考えていたのか。虎鉄は思う。何か言おうとする。口を開く。だが言葉にならない。ハヤテがささやいた。
「何を見てたとか、考えてたとか。もう、何でもいいじゃない」
そうだ、何でもいいんだ。二人に言葉はいらない。二人は何も持っていない。あるいものは愛だけだ。ハヤテが唇を寄せてくる。虎鉄の頬に口付けした。虎鉄はまた、言葉に出来ない言葉を抱く。虎鉄は、せめてこのひざの上の恋人を笑顔にしてやりたいと思う。

「そうだ」
虎鉄はハヤテをひざから下ろし、六畳一間の部屋の片隅、布団の隣にあるこげ茶色の紙袋の中から、画用紙と二十四色のクレヨンを出す。

「何、クレヨン? なに書くの? 」
ハヤテは虎鉄の手元を見つめる。
「虎鉄さんって絵上手いの? 」
「うーん、それはモデルによるかなあ」
「え、ということは……」
「おお、察しがいいな。ちょっとモデルになってよ」

ハヤテはちょっとはにかんだ笑顔を見せて恥ずかしがったが、虎鉄はそれに構わずクレヨンと画用紙を手に取った。ハヤテは窓枠に座って、照れつつもおすまし顔をして、虎鉄を見つめた。虎鉄はハヤテに見つめられつつクレヨンを握った。しかし。虎鉄はちょいと不満を抱いた。

「なんだかパンチにかけるな…」
「え、パンチ? パンチっていうとその」
「刺激」
「刺激をどうしたいっていうの」
「増やしたいんだ。そうだ、ハヤテ。上半身脱いでくれ」
「ええー、寒いよぉ」
「“よぉ”じゃないっ。芸術のためなんだっ。シャツを取れ」
ええー、とハヤテは嫌がっていたが虎鉄は強引にハヤテのシャツを脱がせた。ふんふんと鼻息も荒く。シャツを脱がせるときに目がハヤテと合って、ハヤテが内心そんなに嫌がっていないのがわかる。虎鉄はにやりとした。ハヤテは目をそらした。

ハヤテは恥ずかしがって赤面していたが虎鉄は「隠すんじゃない、手をどけるんだ」と手厳しい。窓枠に腰掛けているハヤテの体は、部屋の明かりで影を作り、窓の外にも投げかけられている。ハヤテは赤面しつつも、モデルとして虎鉄の方をまっすぐに見つめる。

……でも虎鉄はまだ不満だったのだ。
「ちょっとなあ、上半身は裸で下はジーンズっていうのもワイルドでいいんだけど、やっぱりモチーフとしては下も脱いでいたほうがいいんじゃないか、と……すなわちこれは美学的な観点からの意見なのだがね」
「美学……美学ね……結局、脱いで欲しいんですね」
「うん、そう」
ハヤテはジーンズを自分で脱いだ。しかし、そしてちょっと怒ったように虎鉄を見る。しかし虎鉄にはまだ不満があるらしい。
「ああ、違う違う。ジーンズを脱いだだけじゃだめだ」
「……すると」
「パンツも脱いで」

ハヤテは真剣に恥ずかしがりつつ「それはちょっとお……」と言ったが虎鉄は素晴らしい笑顔で脱いで! とハヤテにお願いした。しかしハヤテは恥ずかしさがぬぐいきれない。大体、眺めている虎鉄のほうは服を着ているというのが何か心理的に抵抗があった。なんだ……、この不平等感、無防備感は。ハヤテはその感覚を元に抗議しようとする。

「虎鉄さん、でもちょっと、ちょっと、それはあ」
「ハヤテ」
「え」
「窓枠に座ってると、外が暗くて部屋の中が明るいから……外から丸見えだぞ」
あっ、とハヤテが驚いて飛びのく。虎鉄に飛びついたような格好になった。裸で。虎鉄はハヤテの体を抱いて、笑う。そしてハヤテの唇にキスをした。恥ずかしさでハヤテの顔が赤く、熱くなる。虎鉄の顔も。ハヤテの瞳がちょっとうるんでいたように見えたのは、部屋の電球のせいばかりでもないだろう。ハヤテの熱さは顔だけではなく体にも及ぶ。虎鉄は荒い息をつきながら、部屋の電気を消した。窓の外から入ってくる町の明かりだけが、火照ったハヤテの体を青白く照らしていた。虎鉄の瞳も潤む。そしてやっぱりハヤテは虎鉄に脱がされてしまった。

……しばらくして後、ふたりはまだ抱き合っていた。ハヤテの火照りは引いていた。明かりは消したままだった。町の明かりが二人を照らしていた。青白く。

町は彼らを受け入れてくれるのだろうか。若い二人のこれからは、長い。その時間を二人はどう過ごしていくのだろうか。町の中で。
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テーマ:ハヤテのごとく! - ジャンル:アニメ・コミック

コメント

これって不敬だったりするのか?

  • 2008/04/29(火) 20:30:01 |
  • URL |
  • ファンの一人 #-
  • [ 編集]

昭和の日ですからのう。
不敬かもしれません。
でも、まあ誰もこんなことで文句なんか言いませんよ。

  • 2008/04/30(水) 21:45:06 |
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  • [ 編集]

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