ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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2008年度上半期、中延文学会で選ばれた映画たち

やあ、皆さん、お盆も過ぎましたがいかがお過ごしでしょうか。

前回の記事は2008年度上半期に読まれた漫画を紹介するものでしたが、今回は一つ2008年度上半期に見られた映画を紹介することにしましょう。

選出基準は
①見た甲斐があったこと:
(面白い・面白くない、だけではなく、つまらなくても考えさせられた、などなら選ばれる)
②2008年上半期に見られたこと:
(公開年などは一切関係なし。会員によって2008年上半期に見られたこと)
の二点のみ。

そして、以下の映画たちが実際に『見るべき映画』に指定されたのでした。
この文章をお読みの皆さんも、是非ビデオ屋や映画館で見てみよう探してみよう。

①アメリカン・ギャングスター
この映画の面白さは、『まる見えテレビ特捜部』の刑事物をすごくした感じ、といえばわかってもらえるだろうか?

大々的に麻薬を扱うギャングが存在する町。彼らを相手に捜査している刑事が主役だろう、いちおう。ギャングのトップが主役だという考え方もあるだろうけれど、私はそのように鑑賞していた。

時代はベトナム戦争期。描かれるギャングのトップは、今までイタリア系マフィアが成し遂げられなかったような麻薬の低価格高品質化を可能にする麻薬流通機構を整備したことで、その存在感をいや増していた…なんだかこう書くと麻薬とかではなくて電化製品か何かを扱っている企業家の話みたいだなあ。いや、その一面は確かにあるだろう。映画のはじめの方では、まさにそのような形で話が進む。演じるのは、デンゼル・ワシントン。

対するのは麻薬対策班の警察官。演じるのはラッセル・クロウ(私はラッセル・クロウが大好きなんだ!)。麻薬対策に奮闘する日々だが、同僚の警察官は麻薬の取引現場を見逃して賄賂を取ったり、押収された麻薬を売ったり、警察側の腐敗もひどい。ラッセル・クロウ演じる警察官は警察に失望してロースクールに行ったりもしているのだが…だんだんと警察の方に風向きが変わってくる。

デンゼル・ワシントンの作った組織はあまりにも大きくなりすぎたのだ。組織は掌握しきれないようになって、ほころびができてくる。また、ラッセル・クロウの捜査も進展する。そして警察側が解明する麻薬の流通経路!…この辺りが『まる見えテレビ特捜部』を凄くした感じ、と表現した部分にあたる。

で、それまでの地道ぃなラッセル・クロウの努力が実ってギャングの麻薬精製現場に乗り込むんだが、そのシーンのスカッとする程といったら言葉では表現できないほどなのだ。映画最初のラッセル・クロウがハンマーを持ってドアをぶち破り、犯罪者を逮捕するシーンにも強いインパクトがあったが、麻薬精製現場にショットガンを持って乗り込むシーンも凄いよ。マシンガンをバンバン撃つんじゃなくて鈍いけれども確実な破壊力のこもった発砲音がドン、ドン、と響くってのはかっこよかったなあー。

警察物やギャング物のどちらかが好きならこの映画は確実に面白いはずだ。けっこう長い映画なのだけれど、退屈はしないよ。

なお、この映画を見て興味をもたれた方は、イタリアのギャングについて書かれた本、Roberto Savianoの『死都ゴモラ』(河出書房、2008年)を読まれるといいと思う。イタリアン・マフィアの組織とそれに関わる人々が描かれたルポタージュなどだ。この本の筆者はこの著作のためにマフィアに追われることになったそうだ。ヨーロッパ各国でベストセラーになったんだけれど、日本ではあまり売れていないのかな?

②バンテージ・ポイント
アメリカ大統領を狙ったテロ、その一つの事件を幾人もの視点(バンテージ・ポイント)をつなぎ合わせて全体のドラマが構成されている。あまり長い映画ではない。

観客は、事件の目撃者の視点を一つ一つ眺めていくことによって、事件の全貌を知ることになる…その過程はきわめてエキサイティングだ。

扱っている主題は政治的に重要なものなのかもしれないが、その点はたぶん捨象して構わないと思う。日本の観客にはあまり関係ないだろう、たぶん。

この映画で面白いのは『事件がちょっとずつ(しかし観客の予想をうまく裏切っていく形で)明らかになっていく、その過程』と『幾人もの行動によって事件が収束に向かっていくその様』だろうか。これらの面白いポイントはこの映画の特殊な構成(どういう構成かは見ればわかる)によるところが大きく、この映画の形式を真似しようと思っても、それはなかなか難しいだろう。

たぶん、もうDVDが出ているはずだから、今は見やすい時期なんじゃないだろうか。

③ミュンヘン
北京オリンピック開幕中だねっということで選ばれた。
タイトルからするとミュンヘンオリンピックが中心になる話なのか、と思われたのだが、実際には『ミュンヘンオリンピックの選手村で起こったイスラエルの選手へのテロ事件』に対し、テロ組織に報復するため、活動する…具体的には爆弾を仕掛けたりする…人たちの話。

テロへの報復、というと幾分ぼやかされた印象だが、実際にやることはテロ実行犯を自らの手を以ての暗殺。実行犯を探し出し、ピストルで撃ったり、電話に爆弾を仕掛けたり。
だから、やることは実際、血なまぐさく、しかも非合法だ。

だがこの映画を通して印象に残るのは、報復グループ(…彼らを何と言えばいいのだろう?…事実上、モサドの下部組織のような扱いだが、モサドとは無関係であることが強調され、正体はあまりはっきりしたものではなかった)の5,6人、彼らが朝食を摂っているシーンだ。彼らはごく普通のサラリーマンがそこに居合わせたかのような雰囲気をもって朝食を摂り、ジョークを交わす。

その自然さと報復行為の奇妙な温度差がこの映画の観客に独特の印象を与えていた。

④ダークナイト
まだこの映画は公開中だと思う…まだこの映画を見ていない人はとっとと見に行くべきだ。それぐらい面白かった。

私は元々バットマンにはあまり興味はありはしなかった。いや、ダークナイトを既に見た今もあんまりバットマンそのものには興味はないかもしれない。だが、この映画は確実に面白い!この映画はバットマン映画ではあるが、何か既存のバットマン映画というものを超えた形容がなされるべきで、しかしその形容が今の私には見つからないのが残念だ。

この映画で描かれているのはたっぷりのアクション…例えばバットモービルの力強さ、バットマンのタフさ!それらはハリウッドアクション映画の美点を集めたような素晴らしさであることはまちがいない…に加えて、バットマンの存在への問い、だ。

バットマンは公務員ではない。単なる自警市民だ。彼が行使する実力は、公権力による合法的な力の行使ではなく、向けられる相手は悪人であっても、非合法のものでしかない。なんでか警察とか検察とかに協力してはいるけれど。

そんなバットマンと対置されるのが、検察官。バットマンの舞台、ゴッサムシティでは検察官って公選されるらしい。皆に支持され、そして組織犯罪を追及し、犯罪組織のトップを逮捕する…彼は合法的な方法で悪を取り除く、まさに「ホワイトナイト」だ。

バットマンや検察官、警察官たちをあざ笑うかのように悪事を行うジョーカーもなかなか良かった。怪演というべきか。立ち上る存在感、圧倒的な凶悪さ。映画に登場する悪役でもここまで純粋に悪役であった存在というのはなかなかないのではないだろうか。

詳しくはストーリーにつながるので書けないが、その悪にバットマンや検察官、警察官たちが翻弄され、また、困難な状況に陥らされる様は観客を飽きさせない。この映画は152分もある。ただ長いのではなく、その内容は充実しているが、退屈する人はいないだろう。

そして、この映画の印象的なエンディング…
観客にこの映画の余韻を程よく残し、かつ心に正義の炎を燃やして、感動的だった。

是非この映画を多くの見て欲しい。できれば映画館で。

⑤崖の上のポニョ
ストーリーは、なんか一言では言いがたい。また、ストーリーはそもそも重要なものではないような気すらしてきた。あまりにもつじつまを合わせようとしたり常識的に考えようとしたりすれば混乱するような話ばかりだった。だが、それは決してこの映画がつまらなかったということではない。

この映画が面白かった理由は、この映画の美術的な面があまりにも素晴らしかったからだ。ダイナミックに動く海の波、生き物、乗り物、人々。子供も女性も老人も魅力的だ。

音楽もなかなか良かった。中盤、なんだかマーラーだかワーグナーだかの音楽のような独特の(日本映画の音楽にはなかなか無いタイプの音楽というべきだろうか)が流れるシーンがあったのだが、それがポニョの本名『ブリュンヒルデ』がワーグナーと関係あるとか無いとか、一部では言われているらしいが…

でも、私にはもはやそんなことはどうでもいいことのように思えた。

眼前に展開する光景が美しく、また、人々がけっこうなエンディングを迎える…それだけでいいのではないか?
この映画の中で大津波が起こるのだが、人がたくさん死んだのだろうか、とか、インフラがどうなっているのか、とかはどうでもいいのだろう。一番重要なのは主人公である5歳の男の子のような子供にとって、眼前の光景がわくわくするものかどうか、ではないか。

宮崎監督が子供のために作った、と言っていたのはそういうことじゃないかな、と私は思っている。
…実際には子供はあんまり喜ばなかったらしいけど。
子供心にもあんまり良くわからない映画だったのかもしれない…
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コメント

映画版も作ってみた。

  • 2008/08/18(月) 23:24:55 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

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