ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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高野文子『絶対安全剃刀』は何か詩のような…

漫画批評の本を読んでいると、たいていこの本は言及される。
高野文子『絶対安全剃刀』。
そう新しい本ではない。昭和57年に初版発行。
私よりも年上の本だ。

一般に、評価がとても高い作品…その作品を理解できないような奴は、感性の程度が低いんだよ、といわれるような…を批評するにあたっては、たいていの人は褒める批評から入るような気がするのだが、私はまさに感性の程度が低かったのか…なんでかはわからないが…表題作の『絶対安全剃刀』についてはあまり面白いとは感じられなかった。

『絶対安全剃刀』は短編集である。
表題作を含め、17作品が納められている。
1作あたり、大体10ページあるか無いかのものが多い。
出版社は白泉社。『デトロイト・メタル・シティ』を出している社と同じ出版社とは思えないようなさわやかさ。『花とゆめ』を出している出版社だからなんだろうなあと思わせるようなさわやかさ。
値段は970円プラス税。

さて、では作品の批評に入ろうか。

絵について。
やはり女性的な絵なのだが、1975年代から1985年代の女性漫画絵特有のあっさりとした線、雰囲気を持っている気がする。あるいは、この作者が作り出したムーブメントがその時代を象徴するものになったからこのような印象を抱くのかもしれない。

ストーリーについて。
まず、表題作の『絶対安全剃刀』について触れよう。
自殺しようとしている少年が主人公。その友人がもう一人の登場人物。その二人しか出てこない。

9ページしかない。

この作品は、自殺…少年期特有のセンチメンタリズムの発現の一形態なのだろうか…を、軽いような、あっさりとしているような、ユーモアがあるような、しかし一種のロマンチックさを感じさせるような触り方で描いている。多くの人はこれを美しいと感じるのだろう。だが、私にはその美しさが読み取れなかった。なんか、あっさりとしすぎていて。私がこの作品からそういったものを読み取る努力をしていないといわれるかもしれないが、努力をしないと読み取れない美しさを無理に感じようとさせるのは―『悪しき』教養主義の衰退した、といおうか―現代の漫画読者にとってはあまり適切な手法ではないように感じた。もちろん、この作品は25年以上前の作品なのだから、この感想は現代に存在している私がこの作品を読んで、どのような感想を抱いたかということに過ぎない。

ただ、この作品について、現代の読者である私にとっても心に感じさせるものがあったのは、この本で『絶対安全剃刀』の次に収録されている『1+1+1=0』という作品。

男の子が、自らのキスをめぐって両親に不幸を与えていたんではないかと思い悩む話、とまとめていいのかな。8ページ。なんかこう男の子のモノローグが詩的だ。素敵だよ。終わり方もいい。

『田辺のつる』もこの短編集に収められている作品としては有名か。これもなかなかよかった。
自分のことを小さい女の子だと思うようになった、ぼけた老女の話。
作品中で、その老女は小さい女の子として描かれているのだが、その”老女”に接する周囲(家族)との奇妙な距離感だとか、そういうものが感じさせる、空漠、そしてほんのりとした悲しみ。あるいはおかしみもあるのだろうか。

『あぜみちロードにセクシーねえちゃん』なんかは結構時代を感じさせるけど、その時代特有かもしれない若さをもてあます感じが面白いな。なんか黒田硫黄っぽいような感じを受けなくもな


結論としては。
いくつかの短編は確実に面白い。それに、この本は間違いなく漫画読みにとっては有名な本であることもあるし、自分でその内容を確かめることもいい経験だと思う。940円プラス税の、そう高くもない本であるし、決してそう購入の難しい本でもない(今も版が重ねられている)から、買ってみるのもいいんじゃないかな。

読んだら感想聞かせてくれ。

(署名:超伝導ET)
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コメント

久しぶりに漫画を買いにいったりしたよ。
もう秋だね。

この漫画はけっこう秋っぽいかも。

  • 2008/09/21(日) 23:48:21 |
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  • 超伝導ET #-
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