ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

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初音ミクと「機械的失業」、あるいは声質の権利

仕事で本を読んでいて、面白い言葉を知った。

半田正夫・松田政行『著作権法コンメンタール2』(勁草書房、2009年)847頁。
『…実演家の商業用レコードの二次使用請求権(著作権法95条1項)は、ローマ条約の12条に照応して規定されたが、実演家の「機械的失業」「技術的失業」の救済という職業的実演家という労働者保護の発想から規定された。…』

直接この条文の意義について云々したいわけではない。
この文章中の「機械的失業」という言葉を見て思ったのだ。
初音ミクの声優はどんな報酬を受けているんだ? これを一般化して言えば「声のサンプリングデータの提供者はどのような報酬を受けるべきなのか」という問題になるだろうか。

今はまだあまり洗練されたものではないようだが、音声合成技術はこれからも進歩を続けるだろう。声のサンプリングデータを収録し終えれば、もう声優の仕事は終わり、という時代が来るかもしれない。声優の価値とは、実際に台本を読むことにではなく、個性的な声質(正確にどんな言葉で表現するのかは知らないので仮に『声質』と表現しておこう)を持っていることにある、とされるようになるかもしれない。

そのような技術が確立された時のことを考えてみよう。
声優を雇い、声質のデータを収録し、その際に声優に報酬を支払ったとする。

その収録された声質データについて、そのデータの持ち主は、以後永久的に、そのデータを映画の吹き替えなどに使ってもいいものなのだろうか? 
声質データの持ち主は、それを他人に譲り渡してもよいのだろうか? 
いったん報酬を受けて声質データを収録されれば、声優はそのデータを利用され続けたとしても十分な報酬を受けたといえるのだろうか? 

色々な考え方があるかとは思うが、音声合成技術の進歩によって、声優が「機械的失業」をするはめになる、という事態が将来起こりうるかもしれない。その際、声優はその『声質データ』について、何らかの権利(「声質の権利」と仮に呼ぼう)を有している、として保護するべきことになるかもしれない。

既存の法律でそのような保護を達成することは可能なのだろうか?
著作権法上の保護か?
(声質『データ』は実演とはちょっと違うものの様な気がするが…)
パブリシティ権のような一種の人格権か?
不正競争防止法のような法律によって処理すべきか?
やはり労働法の分野の問題なのか?

似たような問題を考えている人もきっといるのだろうが、私は今のところこの問題の解答を知らないのだ。
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