ナカノブひとりぼっち

(日常はあっけなくデストロイされちまった!)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

現在、日本の自衛隊が保有する銃は三分の二が旧式…武器輸出を伴う調達 第二回

 前回に引き続き、日本の防衛調達について。今回は特に関連する諸法制との兼ね合いから考えてみよう。


一:公共調達政策法の観点から

 まず、調達の基本から述べよう。
 調達契約における調達先決定方式として採用されている手法として、一般競争入札、指名競争入札、随意契約の三つの種類がある。
()一般競争入札とは、契約の内容、入札条件等を広く一般に公告して一定の資格のある不特定多数の者を入札に参加させ、国に最も有利な条件をもって応札した者を相手方として契約を締結する方式をいう。
 国の契約は、広く門戸を開放して多数の者の参加を得て、公正な競争を行って、適正な調達を実施する必要があることから、一般競争契約を原則としている。

() 指名競争契約とは、入札に参加する者を国が一定の資格を有する者の中から資産、信用等のある者又は契約の内容に応じた条件等に合致する者を選定し、その特定した者(複数)に契約内容、入札条件等を通知し、競争入札により相手方を決定して契約を締結する方式をいう。

() 随意契約とは、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合、競争に付することが不利と認められる場合その他法令に定める場合に、国が一定の条件等の下で選んで特定した者と商議によって契約を締結する方式をいう。

 なお、随意契約は、会計法令上は、契約の性質または目的が競争を許さない場合など、特定の場合に限って認められている
 だが、次のデータを見て欲しい。平成16年度の契約方式別契約金額実績だ。

一般競争契約:840億円
指名競争契約:1,242億円
随意契約  :10,979億円
合計13,062億円。

 圧倒的に随意契約の金額の割合が高いことが見て取れる。ここから、防衛調達の特殊性についても理解していただけるだろうか。

二:経済政策法上の観点から

 このような特殊な市場構成をしている防衛調達市場。気になるのが独禁法との兼ね合いである…しばしば調達する側とされる側の癒着が指摘される。仮に武器輸出を伴う調達を実施すれば市場の規模も多くなり、癒着のうまみも増えるだろう。つまり、経済政策法上の問題が生じるおそれが高まる。ここで、日本の防衛産業を経済法の観点から見てみよう。

(1)カルテルについて
 独占禁止法3条は「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」として不当な取引制限を禁止している。不当な取引制限は、「事業者が、契約、協定その他なんらの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、もしくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備もしくは取引の相手方を制限する等相互に其の事業活動を拘束し又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう」と定義されている(2条6項)。この条文で規制されるのが、カルテルと言われるものに相当する 。
 また、入札談合・価格カルテルなどはハードコアカルテル(典型的カルテル)と呼ばれる。ハードコア・カルテルとは、競争制限(価格引き上げないし産出量削減)のみを目的とし、あるいは、客観的に反競争効果が明白で、しかも、これを補うような競争促進効果ないし正当化自由を持ち得ないことが外見上明らかなカルテルといえる。経済的に競争制限効果しか有さず、社会的に見て望ましい効果を持つものではないといわれている 。
(2)日本に独占的兵器市場は存在するか
 一般にカルテルが発生しやすいのは指名競争契約による調達であるが、防衛調達全体に占める指名競争契約の割合は、平成16年度実績において、件数で8,30パーセント、金額で9,50パーセントに留まっており、平成5年度実績における数字である、件数で51,00パーセント、金額で13,84パーセントよりも格段に下がってきている。これはカルテルを防止せよとの世論の圧力によるものかもしれない。
 だが、防衛調達先企業は三菱重工業が一貫して一位であることに加えて、防衛調達の実績上位数社は入れ替わりも少ない。この事実のみをもってカルテルの形成を認めることはできないが、これらの企業が株式保有や役員兼任、合併などの企業結合(『かたい結合』と呼ばれ『ゆるい結合(カルテル)』と区別される)を行おうとした際には公正取引委員会からの排除命令が出されうる。独占禁止法上の市場集中規制の対象となりうるためである 。
 市場集中規制は、①「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」および②不公正な取引方法によるものである場合に企業結合を禁止するが、特に防衛調達の場合に問題になるのが①の場合であり、「一定の取引分野」における市場支配力の形成、維持、強化の有無を問う点で私的独占の禁止や不当な取引制限の禁止等と類似する 。
 さて、公正取引委員会が公表している企業結合ガイドラインは「市場構造が寡占的ではない場合」において、当時会社が市場シェア25%以下の場合を、単独の市場支配力及び共同の市場支配力に共通するセーフハーバーの一つとする 。平成16年度実績では、三菱重工業の年間調達に対する比率が20,7%、同系列会社の三菱電機が7,9%であった 。この二つの会社は別会社とはいえ、同系列であると言う点で企業結合またはそれに準ずる状態が発生しやすいことが容易に予測されるが、仮にこの二社が結合した状態であると認定すれば、これらの企業の調達に占める割合が28,6%となり、市場における競争が不活発な状態であるとされる可能性がある。更に、前述の『年間調達に対する比率』は兵器以外の民生品も含む額なので、兵器市場に限定すれば、より高いシェアを占めることになるだろう。
 結論としては、現在日本には兵器カルテルが存在すると認められる可能性は低いが、今まで防衛調達先となっていた企業群の今後の動向によっては新たに独占的な兵器市場が形成されることになる可能性はそれなりにあるといえるだろう。だが、現状においては経済政策法上、武器輸出を伴う調達を実施することによる問題は発生しなさそうだ。

三:経済規制法の観点から

 現在の防衛調達が公共調達政策法、競争政策法上認められるものだとしても、武器輸出を伴う武器調達をしようと思えば、最も議論を呼ぶことが予想されるのが武器輸出三原則への抵触である。武器輸出三原則とは、次の三つの場合には武器輸出を認めないという政策をいう。

(1)共産圏諸国向けの場合
(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合

 また、武器輸出に関する政府統一見解は以下のように述べている。
『「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。
(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
(3)武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする 。』

 武器の輸出を伴う防衛調達は明らかにこの原則、見解に反している。
 だが、これらの原則、見解は憲法の直接の要請ではなく、政府の産業政策に関する裁量の範囲内で取り消しうるものだといえるだろう。よって、これらの方針は政府の政策如何によって変更される可能性がある。
 つまり、仮に国会議員の多数が武器の輸出を伴う防衛調達に賛成するようになれば、政府は武器輸出に関する原則、見解を変更し、あるいは取り消すことだろう。そのような事態が発生すれば、法律上の原因から武器輸出を否定する理由はなくなるだろう。
 経済規制法上の問題が発生するか否かは個別具体的に世論がどのように動くかによって変わってくることだろう。

 次回は武器輸出を伴う調達について、総合的にその是非を論じようと思う。
スポンサーサイト

コメント

寒い…また仕事も始まるってのについ夜更かしを。
明日は6時起きか…

  • 2007/01/09(火) 01:34:53 |
  • URL |
  • 団藤 #-
  • [ 編集]

私は今日は休みでうれしいな。
といってもいつものように行動しているわけなんだけど。

  • 2007/01/09(火) 13:04:33 |
  • URL |
  • 超伝導ET #-
  • [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://magides.blog81.fc2.com/tb.php/54-2618dcef
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。